吾妻橋ダンスクロッシング  アサヒ・アート・スクエア

 誘われて観に行った。このイベントは半年に一回くらいの頻度でやっているそうだけれど、僕が来たのは今回が初めて。ダンスを中心に、「ダンスより面白い○○、○○より面白いダンス」というコンセプトのもと様々な個人、団体が「出し物」を披露する。


 岩渕貞太「mint(+)」:なかなか見応えのあるダンスだった。結構面白い動きがふんだんに使われていて、まだ未整理な部分はいくつか感じたものの、テンポ感と感情の昂りがいい味を出していた。タイミングや動きの切れがよくなってくるともっといい感じになりそう。ちょっとチェックです。
 鉄割アルバトロスケット「ハエハエカカカカざっぱっぱ・港町ブルース/金をじゃらじゃら落とす/ドラえもの/産まれたての馬鹿/LSDゆでたまご/脇毛でバイオリン/新しい学校」:オムニバス形式で一ネタずつ小出しで出てきた。何というか、ナンセンスギャグの宝庫です。笑えた。電気グルーヴとか大人計画とか思い出す。漫画で言えば吉田戦車とか、漫☆画太郎とか。実際に近くで見ないとあの面白さは伝わらないと思うので一ネタずつ解説するのは避けます。とりあえず、僕が一番気に入ったのは「ドラえもの」。始終笑いっぱなしだった。もう一回観たい。
 小浜正寛「エア人間関係」:ボクデス。その筋では有名な人らしい。一人芸なのだけれど、テンポ感がほんとに良くて圧倒された。語り方もそうだし、動きのセンスもいい。と思ったら、この人今年のコレオグラフィー・アワードに出場してたのね。面白いです。
 yummy dance「I like blue?」:この人たちは去年コレオグラフィーで観た。その時から一年以上経過していたのだけれど、ダンスが始まった瞬間、あ、と思った。動きのバリエーションにすぐに特徴が出る。とにかく「気持ち悪い」のだ。悪い意味ではない。「イライラする」と言ってもいいかもしれない。あれだけそれとわかるダンスができるというのもすごい。
 砂連尾理「バーテンダー」:経歴を見るとなかなかすごそうな感じなのだけれど、今回は何だかいまいちだった。動きが堅いし、バリエーションが少ないので観ていて段々飽きてくる。バーテンダーのある種ダンス的な動きに表象される不気味なものを表現しているようにも見えたけど、いかんせん動きが悪い。この人を別の作品で観てみたい。
 地点「話セバ解カル」:ダイビングスタイル(河童スタイル)で登場していきなりビックリ。一緒に観に行った人とも話したけれど、台詞回しはク・ナウカを連想させる(そして、ク・ナウカには敵わない)。でもよく戦っていたと思う。表現しているものが難しいためなかなか一発で伝わりにくいものがあるけれど、アイロニカルな部分とその表現方法は結構面白い。力量も感じるので、ちょっと他の作品も観てみたい。
 休もうと雅子「妹/姉」:康本雅子さんです。前半に「妹」、後半に「姉」を別々に踊ってくれた。前評判は聞いていたのだけれど、ほんとに動きがすごかった。いっぺんでファンになりました。「妹」の方は小手調べというニュアンスが強くて大人しかったけれど、それでも布団を使っての、マイムの要素も入れた舞踏は凄まじいの一言に尽きる。「姉」の方はもう圧巻。影で踊ってみせたかと思ったら、懐中電灯を使ってみたり、さらにはシルエットまで。すっかりやられました。これからもどんどん色々なことに挑戦して欲しいです。


 やっぱり大した感想が書けない。もっと舞踏について語れるボキャブラリーが欲しい。