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- 出版社/メーカー: ショウゲート
- 発売日: 2005/12/22
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上映時間:85分
製作国:ポーランド
初公開年月:1989/07監督:クシシュトフ・キエシロフスキー
脚本:クシシュトフ・キエシロフスキー
クシシュトフ・ピエシェヴィッチ
撮影:スワヴォミール・イジャック
音楽:ズビグニエフ・プレイスネル出演:ミロスワフ・バカ
クシシュトフ・グロビシュ受賞履歴:
カンヌ国際映画祭(1988年)
パルム・ドール:クシシュトフ・キエシロフスキー
審査員賞:クシシュトフ・キエシロフスキー
FIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞:クシシュトフ・キエシロフスキーヨーロッパ映画賞(1988年)
作品賞:クシシュトフ・キエシロフスキー
連続テレビシリーズ「デカローグ」の中の一編を劇場用に再編集した、キェシロフスキ監督の作品。本編では、弁護士が弁護士になるに至ったいきさつと、青年の妹に関するエピソードが挿入されている。この話題は、作品世界にさらに深みを与えている。
ある青年は、絶望の中で街中を彷徨い歩いていた。その心に沸々と湧いてくる理不尽な感情。しかし、その青年はその激情を抑えることができなかった。自己中心的で勝手なタクシー運転主をその手で殺害し、彼は逮捕され、裁判では死刑を言い渡される。その青年の心を救うことのできなかった弁護士。
「太陽がそうさせたから」と言って殺人を犯した「異邦人」の青年のように、この作品で登場する青年も自分にはどうすることもできない感情の中で、ただどうすることもできなかった。その青年の弁護を担当したのは、弁護士になって一年になる、正義感に燃えた若者。彼は、弁護士になるための面接で、「刑罰の重さを、人が犯罪へと向かわないようにする抑止力とすることはできない」というようなことを、カインを引いて述べていた。皮肉にも、その言葉は彼が弁護を担当した青年に心にも当てはまる。彼の人生の中心であった妹が辛いエピソードの中で葬られてしまったことで、彼はただ無気力に、無感動に生きるしか無くなっていた。その彼は、車をほしがっていた恋人の願いを叶えようとしたに過ぎない。そこに、罪を犯そうとしているという危うい感情は当然伴っていなかった。
刑罰は判事によって言い渡される。それは、青年のしたことを考えれば至極当然の結果であった。しかし、誰一人としてその決定を快く受け止めることはできなかった。どこかに残る理不尽さ。
誰にも青年の妹の命を奪う権利は無かったし、誰にも、妻に金を渡そうとしていた自己中心的なタクシードライバーの命を奪う権利は無かったのと同様に、死刑を執行された青年の命を奪う権利も無かったのではないか。その理不尽さは、若い弁護士にも、年老いた判事にものしかかる。
キェシロフスキならではの「偶然性」を表に出しながら、人物の対比を非常に美しく描き出している。重苦しい事件を淡々と見つめるような、半ば覗き目めいたカメラの視線。彼は決して描写に対して容赦をしなかった。そこで伝えたかったのは何なのか。
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2005/10/28
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上映時間:133分
製作国:アメリカ
初公開年月:2005/05/28監督:クリント・イーストウッド
製作:クリント・イーストウッド
ポール・ハギス
トム・ローゼンバーグ
アルバート・S・ラディ
製作総指揮:ロバート・ロレンツ
ゲイリー・ルチェッシ
原作:F・X・トゥール『テン・カウント』(早川書房)
脚本:ポール・ハギス
撮影:トム・スターン
美術:ヘンリー・バムステッド
編集:ジョエル・コックス
音楽:クリント・イーストウッド出演:クリント・イーストウッド(フランキー・ダン)
ヒラリー・スワンク(マギー・フィッツジェラルド)
モーガン・フリーマン(エディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス)
アンソニー・マッキー(ショーレル・ベリー)
ジェイ・バルチェル(デンジャー)
マイク・コルター(ビッグ・ウィリー)
ブライアン・オバーン(ホーヴァク神父)
マーゴ・マーティンデイル(アーリーン・フィッツジェラルド)
マイケル・ペーニャ(オマー)
ベニート・マルティネス(ビリーのマネージャー)
ブルース・マックヴィッティ(ミッキー・マック)
ネッド・アイゼンバーグ(サリー・メンドーサ)
モーガン・イーストウッド(トラックの少女)
ルシア・ライカー(ビリー)
リキ・リンドホーム(マーデル・フィッツジェラルド)
マーカス・チェイト(J・D・フィッツジェラルド)受賞履歴:
アカデミー賞(2004年)
作品賞
主演男優賞:クリント・イーストウッド
主演女優賞:ヒラリー・スワンク
助演男優賞:モーガン・フリーマン
監督賞:クリント・イーストウッド
脚色賞:ポール・ハギス
編集賞:ジョエル・コックス全米批評家協会賞(2004年)
作品賞
主演女優賞:ヒラリー・スワンクNY批評家協会賞(2004年)
監督賞:クリント・イーストウッドゴールデン・グローブ(2004年)
作品賞(ドラマ)
女優賞(ドラマ):ヒラリー・スワンク
助演男優賞:モーガン・フリーマン
監督賞:クリント・イーストウッド
音楽賞:クリント・イーストウッド放送映画批評家協会賞(2004年)
主演女優賞:ヒラリー・スワンク
助演男優賞:モーガン・フリーマン
監督賞:クリント・イーストウッドMTVムービー・アワード(2005年)
女優賞:ヒラリー・スワンク日本アカデミー賞(2005年)
外国作品賞ブルーリボン賞(2005年)
外国作品賞セザール賞(2005年)
外国映画賞:クリント・イーストウッド(アメリカ)
何となく敬遠していた映画。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が好きなくせに、この映画はものすごく暗いような気がしてなかなか見る気にならなかった。しかし、いざ観てみると、観てよかったと思える映画であった。
「根っからの貧乏娘」であるマギーは、ボクシングの名トレーナーであるフランキーにトレーニングしてもらおうと願い出る。女はトレーニングしない、と最初は突っぱねていたフランキーだが、大切に育てていたボクサーに裏切られたことをきっかけとして、彼女の頑張りに根負けする形でトレーニングを始める。センスがいいのか相性がいいのか、普通では考えられない早さで成長する彼女。やがて彼女は、「モ・クシュラ」という、フランキーの名づけたゲール語の名前で親しまれるボクサーとなる。そして、ついにやってきたタイトル戦、苦戦の末勝利をつかみかけた矢先に不幸は訪れる…。
クリント・イーストウッドが監督・主演をしているわけですが、彼の存在は決して嫌味ではなく、マギーに不幸が起こってからの演技は壮絶ともいえるもの。彼の存在なくしてこの映画は成り立たなかったとも言える。彼がアイルランド移民であることをカムアウトしている映画とも言われており、その思い入れは一際強いものであったのだろう。
ボクシングの華々しさだけではなく、汚さまでも見せている。それを「女性ボクサーたち」の戦いという側面から描いているからこそ、より生々しい。マギーはどこまでも家族思いで素直な女性であったけれど、彼女に対する風当たりの強さ、裏切りは相当な重さで観る者を圧倒する。情が通じているのはほんの一握りの人間だけで、家族からさえも愛されない。その様子の描写にひとかけらの妥協もしない。
本当の人間の結びつきとは何なのか。「血」とは何なのか。納得して死ぬということはどういうことなのか。そうした問題に対して著者が提案しようとした回答を正確に導き出したかどうかは定かではないけれど、クリント・イーストウッドなりの解釈と回答が色濃く示されていたと考えて間違いないだろう。彼は映画の中で本気で泣いていたのだ。
この映画については、第三者が何かを言わないほうがいいと思う。ただ、観る者が作り手と対話して感じる映画であると思う。
何かに迷った時、もう一度観たい映画。