「プラック・ダリア」

<補足映画情報>

上映時間:121分
製作国:アメリ
初公開年月:2006/10/14


監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:ルディ・コーエン
   モシュ・ディアマント
   アート・リンソン
製作総指揮:ロルフ・ディール
      ダニー・ディムボート
      ジェームズ・B・ハリス
      ヘンリク・ヒュイッツ
      ジョセフ・ローテンシュレイガー
      アヴィ・ラーナー
      トレヴァー・ショート
      アンドレアス・ティースマイヤー
      ジョン・トンプソン
原作:ジェームズ・エルロイ『ブラック・ダリア』(文春文庫刊)
脚本:ジョシュ・フリードマン
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
美術:ダンテ・フェレッティ
衣装:ジェニー・ビーヴァン
編集:ビル・パンコウ
音楽:マーク・アイシャム


出演:ジョシュ・ハートネット(バッキー・ブライカート)
   アーロン・エッカート(リー・ブランチャード)
   スカーレット・ヨハンソン(ケイ・レイク)
   ヒラリー・スワンク(マデリン・リンスコット)
   ミア・カーシュナー(エリザベス・ショート)
   リチャード・ブレイク
   ケヴィン・ダン
   マイケル・P・フラニガン
   ローズ・マッゴーワン
   マイク・スター
   フィオナ・ショウ
   パトリック・フィスクラー
   ジェームズ・オーティス
   ジョン・カヴァノー
   クローディア・カッツ

 現在上映中の映画についてはネタバレの危険性があるためあまり詳しくは書きません。一応more記法で書くので、続きを読みたくない人は続きを読まないようにしてください。
 個人的には、娼婦役のヒラリー・スワンクにびっくりしてしまいました。というか、今名前を調べていてビックリしちゃいました。「ミリオンダラー・ベイビー」を観たばっかりなので、これがあれと同一人物かよと。世の中恐ろしいです。
 ボクサーだった二人の刑事、バッキーとリーはタッグを組んであるヤマを追っていた。しかし、その途中で体をまっぷたつに切られた女性の死体が発見されたことから、徐々にリーの様子がおかしくなっていく。彼は女性の死体の事件に没頭するようになり、見境の無い行動もとるようになる。命を助けてもらった義理から期限を設けてリーに協力するバッキーだったが、事態は思わぬ方向へと転がっていくことになる・・・。

 この映画は、最強のB級ホラー「キャリー」やもはやみんなが知っている映画「ミッション・インポッシブル」を撮った、ブライアン・デ・パルマ監督の最新作。映画の文法をわきまえていると言うか、話の進行のさせ方が分かっている監督なので、その点ではかなり安心して観ていられる。この映画ではフィルム・ノワールが撮りたかったそうだけれど、確かに伝統的なフィルム・ノワールの構造に忠実に作られている(参考:フィルム・ノワール - Wikipedia)。見えない犯人の顔、事件の核心に関係のある女性(ファム・ファタール)の影、男二人に女一人という構造。とは言っても、韓国の無理矢理サスペンスなどと比較すると、伏線の張り方や人物の配置などはしっかりしていて、全く無理はない。問題は忠実すぎること。フィルム・ノワールを現代に再現しようとしても、結局は旧作のオマージュ的要素が強くなってしまう。それはそれで、映画好きとしては嬉しいことなのだけれど、新しい作品としての要素も見たいと思うと、少し物足りなさを感じる。デ・パルマのような巨匠だからこういうことができるのかもしれないけれど。ちなみに、フィルム・ノワールの中では、キューブリック監督の「現金に体を張れ」とかが個人的に好きです。途中の冗長な感じから一気にクライマックスが加速するのも、観ている側は緊張する展開。下手すると何も分からないまま映画が終わってしまうということもあり得る。本の内容を詰め込もうと思いすぎて内容の配置に偏りが出てしまった感じ。そのあたりは残念。
 役者の演技は秀逸。無駄な動きは無いし、それぞれのキャラが立っているので混乱しない。殺される女、エリザベス・ショートの映像の入れ方も面白い。最初から最後まで雰囲気が壊れていない。


 個人的には面白かったです。よく作られた映画というのは、それだけで美味しいお菓子みたいなもの。